
「単語を覚えても覚えても、テストの点数が思うように伸びない」「長文になると知らない単語が出てきて、そこで思考が止まってしまう」——英語学習でこうした壁にぶつかる人は非常に多くいます。
結論から言うと、この壁を突破する鍵は「単語をどれだけ暗記したか」ではなく、「単語の“原義”をどれだけ理解しているか」にあります。
今回は、教育現場で数多くの生徒を見てきた立場から、単語の原義を軸にした語彙力の伸ばし方を解説します。
なぜ「単語の丸暗記」だけでは伸び悩むのか

多くの人は、単語帳を使って「英単語→日本語訳」を機械的に暗記します。しかしこの方法には限界があります。
理由は、1つの英単語に対して日本語訳は1つではなく、文脈によって訳し方が変わるからです。
例えば「run」という単語は「走る」という訳だけでなく、「経営する(run a company)」「流れる(run a river)」のように、まったく違う日本語に訳されます。
これを個別に暗記しようとすると、覚える量が際限なく増えていき、結果として「覚えたはずなのに文章の中で意味が取れない」という状態に陥ります。
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単語の「原義」を押さえると何が変わるのか

そこで重要になるのが、単語の核となるイメージ、つまり「原義」を押さえるという考え方です。
先ほどの「run」であれば、原義は「(何かが)連続して進んでいく」というイメージです。
このイメージさえ持っていれば、「走る」も「経営する(会社を継続して動かす)」も「流れる(水が連続して進む)」も、すべて同じイメージから自然に理解できます。
つまり、原義を理解するというのは、日本語訳を1つずつ覚える作業から、単語が持つ「核イメージ」を1つ覚える作業に変える、ということです。
これにより、暗記量そのものを大幅に減らしながら、応用の効く語彙力を身につけることができます。
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原義を理解すると長文読解でも「推測」ができるようになる

原義を軸にした学習のもう一つの大きなメリットが、長文読解における推測力です。
長文の中で知らない単語に出会ったとき、単語帳的な丸暗記だけをしてきた人は、そこで思考が完全に止まってしまいます。
一方で、原義のイメージを日頃から意識している人は、その単語の一部(接頭辞・語根)から意味を推測できることが多くあります。
例えば「pre-」という接頭辞には「前に」という原義イメージがあります。
これを知っていれば、「predict(前もって言う=予測する)」「prevent(前で止める=防ぐ)」のように、初めて見る単語でも意味の見当をつけられるようになります。
同じように、「sub-」には「下に」という原義イメージがあります。
「submarine(海の下=潜水艦)」「subway(道の下=地下鉄)」のように、知っている単語からも「sub-」のイメージがつかめるはずです。
これを応用すれば、初見の「submit(下に置く=提出する、服従する)」のような単語も、なんとなく意味の方向性を掴むことができます。
入試や資格試験の長文では、知らない単語が必ずと言っていいほど出てきます。
そのすべてを事前に暗記しておくことは不可能ですが、原義のイメージから推測する力さえ身につけておけば、初見の単語でも文脈と組み合わせて意味を判断できるようになります。
この推測力は、結果として得点力に直結する重要なスキルです。
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熟語も「原義×前置詞のイメージ」でなんとなくわかるようになる
英語学習でもう一つつまずきやすいのが熟語です。「look」「get」「put」など基本動詞と前置詞・副詞の組み合わせは無数にあり、これも1つずつ丸暗記しようとすると非常に効率が悪くなります。
ここでも原義の考え方が役立ちます。基本動詞の原義イメージに、前置詞が持つイメージを掛け合わせると、熟語の意味が「なんとなく」わかるようになるのです。
例えば「look」の原義は「視線を向ける」、前置詞「up」の原義は「上へ・higher」というイメージです。
この2つを掛け合わせると、「look up」は「(辞書などを)調べる」という意味につながっていることが感覚的に理解できます。
「look」+「forward(前方へ)」であれば、「look forward to(楽しみに待つ)」という前向きなニュアンスも、イメージとして納得しやすくなります。
同じ考え方は「get」にも当てはめられます。「get」の原義は「(何かを)手に入れる・ある状態に至る」というイメージです。
ここに前置詞「over(越えて)」を組み合わせた「get over(乗り越える=克服する)」、「through(通り抜けて)」を組み合わせた「get through(通り抜ける=乗り切る、伝わる)」も、それぞれの前置詞のイメージを知っていれば、初めて見る組み合わせでも意味の方向性をつかむことができます。
丸暗記した熟語は忘れやすいですが、イメージとして理解した熟語は記憶に残りやすく、初めて見る組み合わせにも応用が効くという特徴があります。
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今日からできる、原義を意識した勉強法

原義を意識した学習は、特別な教材がなくても今日から始められます。
- 単語を覚える際、日本語訳だけでなく核イメージも一緒に確認する:単語帳に「なぜその訳になるのか」を一言メモしておくだけでも、記憶の残り方が変わります
- 知らない単語に出会ったら、まず接頭辞・語根から意味を推測してみる:わからなくてもすぐに辞書を引かず、一度自分なりに予想してから確認する習慣をつけると、推測力そのものが鍛えられます
- 熟語は丸暗記する前に、基本動詞と前置詞のイメージを掛け合わせて考えてみる:「なんとなくこんな意味かな」と考えるプロセスを挟むことで、単なる暗記より記憶に定着しやすくなります
- 代表的な接頭辞・語根だけは早めにまとめて覚えておく:「pre-(前に)」「sub-(下に)」「trans-(超えて・向こうへ)」など、頻出するパーツを先に押さえておくと、以降の単語学習すべてに効いてきます
最初は時間がかかるように感じるかもしれませんが、この積み重ねが、暗記量を減らしながら応用力のある語彙力を育てる一番の近道になります。
単語帳を1周するスピードよりも、1つの単語をどれだけ深く理解できたかの方が、最終的な語彙力の差につながっていきます。
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まとめ|語彙力は「量」より「イメージ」で伸びる

英語の語彙力は、単語帳の周回数だけで決まるものではありません。
1つ1つの単語が持つ原義のイメージを理解することで、暗記の負担を減らしながら、長文読解での推測力や熟語理解の応用力まで同時に伸ばすことができます。
「単語を覚えても定着しない」「知らない単語が出るとお手上げになる」と感じている方は、まず身近な単語1つからでも、原義に注目する習慣を取り入れてみてください。
授業や自宅学習の中で、今日紹介した「run」「pre-」「sub-」「look」「get」のような身近な単語から意識してみるだけでも、これまでとは違った視点で英語に向き合えるようになるはずです。
小さな積み重ねが、数か月後の語彙力・読解力の大きな差につながっていきます。
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